捻挫について
◆ 捻挫
- 「捻挫」とは?
関節に外力が加わり、非生理的な運動を強制された時に生じる関節包、靭帯(じんたい)などの関節支持組織の軽度の損傷を言いますが、ほとんどの場合には靭帯損傷を意味します。
足関節のように関節運動範囲の少ない関節ほど捻挫を起こしやすく、肩関節(肩甲上腕関節)のように可動域の大きい関節ほど脱臼を起こしやすくなります。
- 「突き指」の場合は引っ張ればいいのでしょうか?
外傷による組織炎症により受傷関節内圧が異常に高まるのでこの場合には軽く牽引する(=引っ張る)ことも考えられます。
しかし、本来受傷患部は出来るだけ静かな状態で良肢位にて安静固定させることがベストです。
特に、靱帯の一部断裂が伴っている場合には無理な牽引をすることによって損傷した靭帯を悪化させることになります。
また、骨挫傷が合併している時にはより以上に安静固定が重要であり、引っ張ったり荷重をかけることは症状を更に悪くすることにつながります。
すなわち、レントゲンでは異常が無いために捻挫なんだと思って引っ張ることは止めたほうが良いでしょう。
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★★★★★★ 捻挫の治療では筋・腱・靭帯・関節包損傷の鑑別は重要なポイントとなります。 ★★★★★★
- 「捻挫」の応急処置は?
捻挫に限らず、外傷での基本的応急処置を簡単に説明します。
1. R(REST=安静)
動かないようにする、負荷がかからないようにするということです。
2. I (ICE=冷却)
炎症熱を取り、損傷した部位の組織温を適正に保ちます。
同時に血液・リンパ液の流入による関節内圧の上昇を防御します。
冷却ポイントは損傷部位およびそれよりも近位の2ヶ所になります。
3. C(COMPRESSION=圧迫)
適度に圧迫することにより、損傷組織に血液が流れ込むのを必要最小限にすることを目的
としています。
正しい包帯固定は局所の安静とともに局所の圧迫も行っています。
4. E(ELEVATION=挙上)
を目的としています。自発痛(ザックザックとする痛み)で眠れない時には患部が心臓よりも
高い位置にキープしてお休み下さい。
★★★★★★★★ それぞれの頭文字をならべて 「 R I C E 」 と覚えて下さい。 ★★★★★★★★
- 「捻挫」の分類(靭帯・関節包損傷の分類)
1. 程度による分類
a. 第1度:靭帯の微小損傷
疼痛、腫脹、圧痛、機能障害ともに軽く、不安定性を見ない。
b. 第2度:靭帯の部分断裂時
機能障害有り。不安定性は軽度から中等度。
c. 第3度:靭帯の完全断裂時
機能障害高度。不安定性著明。(脱臼にいたることが多い)
2. 損傷端の形状による分類
a. 横損傷
b. 縦損傷
c. 鈎裂き損傷
外傷で「関節が痛い !!」 と感じたら迷わず受診されることをおすすめいたします。