顔面神経麻痺・三叉神経痛
医 療 相 談 室
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顔面神経麻痺(ベル麻痺)
- ある日突然に顔の片側が動かなくなり、顔がゆがんできます。額のしわが寄せられなくなったり、
眼が閉じにくくなったり、口から飲み物が漏れ、頬をふくらませることができなくなったりすることも
よく見られる症状です。痛みは伴わず、運動麻痺のみの病気となります。 - 麻痺は現れてから1週間以内に悪化することもあるので、早期の治療が必要となります。
- 麻痺により筋が委縮するとその回復には相当な時間を要するため、「変だな」と感じたらためらわずに受診して下さい。
- 顔面神経は涙の分泌、味覚、大きな音に対する反射にも関係しているため、麻痺と同じ側の涙の分泌低下、味覚の低下や物音が響く聴覚過敏になることもあります。
また、帯状疱疹ウイルスが原因となり顔面神経麻痺が起こる場合があります。(ハント症候群)
- 治療法は薬物療法を中心として、顔面筋の麻痺を防止するための通電療法や運動療法が有効となります。
神経の浮腫による側頭骨内での圧迫を除くことを目的として、副腎皮質ステロイド薬を投与することもすすめられています。(米国神経学会の治療ガイドライン)
- 単純ヘルペスウイルス1型が発症に関係していることが疑われており、抗ウイルス薬を投与することも試みられていますが、まだ追加の臨床試験が必要な段階です。
涙の分泌低下と閉眼不全に対しては点眼薬を用います。
- ベル麻痺は治りやすい病気で、麻痺が軽度であれば1~2カ月で完全に治ります。
麻痺が高度な場合、治癒率は80~90%程度であり、6~12カ月経過しても麻痺が残っていたり、まぶたと口が同時に動く病的共同運動、痙攣やひきつれなどの後遺症を残す症例も見られます。
三叉神経痛 (さんさしんけいつう)
- 人間の身体には、知覚を司る知覚神経、運動を司る運動神経、身体の内部環境を自動的に調節する自律神経がありますが、顔面では運動神経が顔面神経、知覚神経が三叉神経となります。
この三叉神経に障害が出ると、ナイフでえぐられる痛みとか、焼けるような痛みとか、電気が走るような痛みと表現されるようにとても強い痛みが顔面部に出ます。
- 三叉神経は文字通りⅠ枝、Ⅱ枝、Ⅲ枝と三本に枝分かれしています。
Ⅰ枝:おでこ全体から鼻の真中あたり
Ⅱ枝:頬から鼻の脇、上唇(うわくちびる)のあたり、上の歯、鼻粘膜
Ⅲ枝:下あごのあたり、下の歯
- <三叉神経痛の特徴>
・ 突発的でとても強い痛み
・ 発症部位はⅡ枝、Ⅲ枝が多い
・ 男性よりも女性に多い
・ 40才以降に多く発生
・ 神経痛の持続時間は短い
・ 冷たい物を飲んだり、洗面、歯磨き、ヒゲ剃り、食事などにより誘発される
・ 痛みのあるところに触ると痛みが強くなる
- 原因は動脈の位置異常により、脳の出口付近での三叉神経の圧迫が多いようです。
若年者の三叉神経痛では、多発性硬化症による神経の損傷が原因の時もあります。
また、まれに帯状疱疹による損傷や、腫瘍が神経を圧迫した結果のこともあります。
- 三叉神経痛を確定するための特別な検査はありませんが、独特の痛み症状により診断は比較的容易です。
しかし、三叉神経痛と顔面に痛みを起こす別の原因である、顎、歯、副鼻腔の病気、腫瘍や動脈瘤により三叉神経が圧迫されて起こる三叉神経障害などとの区別が必要となります。
- 三叉神経障害では顔面の感覚が失われますが、三叉神経痛では失われることはありません。
- 痛みの期間は短く、一般の鎮痛薬は無効ですが、一部の抗けいれん薬は有効です。
通常は抗けいれん薬のカルバマゼピンが最初に試みられます。
カルバマゼピンが効かなかったり副作用が起きた場合は、フェニトインやバルプロ酸が処方されます。
代わりに、筋肉のけいれんを軽減するバクロフェンや三環系抗うつ薬が使われることもあります。
- 動脈の位置異常が原因の場合には、神経と動脈を分離し両者の間に小さなスポンジを埋めこむ手術が行われますが、軽度の三叉神経痛の場合には投薬療法と共に鍼灸治療も有効です。